Lunaria

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『Message』(I1・ルナティニール)

はい、ケリをつけましたプラテです。
携帯からの方、やっぱり長くてすいません(汗)。


タイトル通り、イルさんへの最後のメッセージ。
時間軸的に、『月の踊り子』の続編ですね。

アルフィ君に託すことになるかな、この手紙……。
きっとイルさんが街に帰ってくる頃、ルナはもう街にいないか、いても逢わないと
思うので……。

そこで再会するかどうかは、イルさん次第かな、と。
イルさんが逢いたいと思えばそうするかもしれないし。


ご存知の方は文面を見てわかるかと思いますが、島谷ひとみの歌を
何曲か引用・文章に織り込んでます。というか、ほぼそれで文章書きました。
不意に聞き返してたら、ルナの心を見事に表している歌詞が目白押しだったもので。


ともかく、すべて吐き出してすっきりしたかな、と。
追記からどうぞ。




『イル。今はいないお前へだから、俺はこんなことを書けるんだろう。』



 夜明けの近い月夜。けれどまだ空は深い宵に包まれた時間。
数年ぶりの生家の、けれど数年前のまま残されていた自分の部屋で、
ルナティニールは筆を走らせていた。

 踊り明かしたままの衣装で、窓辺のテーブルについて。
あえて月明かりとほのかな灯火だけで、紙面を照らす。



『この手紙を、いつお前が読むことになるのか、それはわからない。
無事に手元へ届くかどうかも。 ……届かないなら、それまでだ。

 俺達はきっと、二度と会うことはないだろう。
お前もその覚悟あって行ってしまったのだろうし―――
約束通り、お前が街へ帰ってきたとき、きっと俺はもう街にはいない。
 この手紙を読んで、もしも俺に逢いたいと思うなら――』



 その先を書けずに、行を変えた。
 はっきりとした、けれど優雅さと繊細さも兼ね備えた美しい筆跡で、
ルナは想いをつづっていく。



『心はなぜ、またお前の記憶だけを消そうとして、
無理をしたがるんだろう。
 身体はなぜ、お前のぬくもりだけすぐに消そうとして、
誰かを求めようとするんだろう。
 ……イルへの想いはまだ、生きてる。
この胸の中に、鮮やかに。哀しいくらい、綺麗に。

 ただ楽しくて、ただ過ごしてた―――それだけじゃ、それだけじゃ……
なかった日々。 それが俺にとっての宝物で、俺にとっての幸せだった。』



「……ただ、傍に、いたかった」

 ぽつりとした言葉を、声と共に紙面へつづる。



『どんな痛みも、抱きしめられたら。
 この愛を、誇れると信じてるから。
 だからひとりで―――今は辛くても。
 逃げたくない。見つめてたい。
 今、ひどい孤独を。お前と別れたことを。
 きっと抱えられるように、なるまで。

 この手紙を読むときのお前は、どこで何してる?
 ……駆け出していきたくなる。今からでも、追いかけていきたくなる。
 お前の笑顔、いつか忘れていくのかな。
 これ以上の悲しみは、ない。
 ……一番大切だったよ。
 ただ真っ直ぐに見つめたことを―――今はまだ、過去になんて出来ないけど。

 どんな痛みも、抱きしめられたら。ひとりでも歩けると、信じたいから。
お前と生きてたことを、ひとり抱えられるようになるまで。
見つめられるようになるまで。

 ……お前だけを、探し続けてる。』



 突然に終わった愛。
 ……終わらせた愛。
 それはただ、彼のためであったけれど。
 輝く月を、ルナは仰ぐ。
 あの日と変わらぬ月。



『これを読んでるときのお前には……俺のことなんて、
身体の中に跡形さえなく消えてしまったかな?

 最後のキスを覚えてる?

 ……たぶんお前は、覚えてないかもしれない。
 初めて触れ合った瞬間―――俺は戸惑いを投げ捨てて、永遠を願った。
 夜明けが来なくて構わないと。』



 彼を愛した罪と罰。
 それを今、受けているのかもしれない。



『おかしいな。心の距離が近づくほど、どこかで孤独を感じてた俺なのに。
……お前に似た姿を、ふと探してる。

 俺達は、優しさの意味を履き違えてた。
 許されること―――そして、許すこと―――。

 上手くは、言えない。でも、わずかなすれ違いと―――時の流れが、
俺達の未来を決めてしまったんだろう。

 俺が残した約束の花は、今もどこかで咲いてるかな……?
 遠い日の笑顔に、いつか届くんだろうか。

 お前だけを見つめた。お前だけを感じてた。
 ……この身体すべてで。甘い痛みを抱いて。』



 筆が、止まる。
 けれど視界はもう、にじまなかった。
 戻ろうともしない二人の時間と、淋しさ―――耐え切れずにいた痛み。
 今は、向かい合える。



『イルがただ残してくれたものは、
思い出と悲しみだけだった―――なんて、思わない。
 これほどまでにひとを愛することを、教えてくれたのはイルだから。

 哀しみを眠らせて、迷い子のような心を抱いて、俺は行く。
 明日へと続く路を、少しつづ歩き出すために。

 ―――ありがとう。愛されなくても、愛してた。
 どうか、幸せに』



 そこで筆を置いた。

 開けた窓から、冷たい風が吹き込んだ。

 想いはゆらゆらと、ひらひらと、風に空に夢に舞う。
 陽炎の中に揺れて。
 彷徨いながら、今はセピアの夢を見る。

 踊る長い真珠の髪を、不意に手に取った。
 切ろうかどうか、迷う。
 彼から受けたかんざしを握り締めて、髪を離した。

「これくらいは……残しても、いいよな」

 結い紐で軽くひとつに髪を結い、肩に垂らす。


 少しずつ明るくなり始めた空の光が、ルナを照らした。



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