Lunaria

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『月の踊り子』(I1・ルナティニール)

勢いでプラテを書いてしまいました。
記事の時間を見ればわかるかと思いますが、夜中に一気に書き上げてしまいました。
……UPするかどうか、少し迷ったのですが、やはり公開することにしました。

もちろんルナです。月の踊り子聴いてて、今回のテイルと失恋について
ルナなりにいくらかケリをつけたようです。
……というか、これからケリをつけようとしているようです。

もう一編、最後のケリをつけるためにプラテを書こうと思います。えぇ、これから。
(現時間は8月3日15時)

パソから見てくださってる方は、ぜひとも月の踊り子を聴きながらお読みください。
……ニコニコ会員登録は無料です☆(おい)

youtube版『月の踊り子』もありますが、ニコニコで聴いた方がやはり綺麗な気が。



小説はもちろん追記で。
携帯からの方、長くて読み辛くてすいません(汗)。




 しゃらん、と涼やかな鈴の音が夜の静寂に響く。
 満ち足りた月が輝く下、二人だけが照らされる庭で。
 たたずむ月の精霊に、立ち尽くした。


「……ルナ……」


 精霊の名を愛称で紡ぐ。
 見据えてくる紫水晶の双眸は、常の彼ではない。
 否―――そのいでたちそのものが。

 普段から露出の高い、そのまま踊れそうなデザインの衣装を纏っている彼。
けれど普段の衣装はあくまで普段着。今、彼が纏っているのは―――王の前で
舞を披露する際に着るような、極上の舞踏衣装だった。
 それもロンファ式のものではない。シェフィールドの文化を多分に取り入れた、
このリリト家独自に……まさしく彼のためにデザインした、オリジナルの衣装。
 白金に本物の宝石をあしらった髪飾り、ペンダント、ブレスレット、アンクレット
―――手には小さな鈴がいくつも連なった楽器。踊りの際に用いるものだ。

 きっちりと、けれどあくまで彼自身の美貌を損なわないよう薄く施された化粧。
 繊細に、豪奢に結われた髪。
 
 彼が持つ女性的な美しさを、最大に引き出した―――これ以上ない、
美の結晶がそこにたたずんでいた。もはや到底青年には見えない。

 彼は、静かに告げた。


「最期の夜だ」





 その感情に名をつけるなら、『絶望』だろうか。

 けれどそんな単純な一言で片付けられるような、簡単な想いでは、なかった。
 絶望。後悔。渇望。哀愁。悲嘆。
 それらすべてが内包された、傷。
 それは刹那の憎悪を引き出して、暗く激しい炎に変わろうとした。
 炎を消したのは、一人の少女だ。
 特別なことをしたわけではない。彼が望む言葉を投げかけたわけでも。
 けれど少女は確かに、彼に生きる気力を与えた。
 顔をあげて、再び歩き出す活力を。

 ―――だから彼は今、ここに、いる。



「どういう、意味だい?」


 セイティスは一歩近寄り、彼、ルナティニールに問いかけた。
 あるいは実子達よりも大切かもしれない、愛しい愛しい子。
 ルナティニールはわずかも表情を変えずに答えた。


「そのままの意味だ。……今夜が最期の夜。今このときまで生きてきた、
『ルナティニール・セシル・リリト』は、今夜死ぬんだよ」


 セイティスは、あえて待った。その言葉の続きを。

 実子達の非常事態を知って、ルナを置いて向かった天京。けれど戻ってきたとき、
 ルナの瞳は―――生気を喪っていた。目を離せばそのまま、消えてしまうのでは
ないかというほどに。
 けれど今のルナの瞳は、違う。だからきっと、言葉の額面通りの意味ではないだろう。

 ルナは視線を落として伏せ、静かに続けた。


「……生まれ変わる。今までのすべてを、今夜という時間に、そして『あのひと』へと置き去りにして」


『あのひと』。誰かは、聞くまでもない。

 セティの友であり、そして、ルナの最愛のひとであった、『彼』。


「今はいないイルの代わりに―――受け取ってほしい」


 再び養父を見つめる双眸。セティは、問い返した。


「美妓として過ごした自分。『彼』を必死に追いかけた自分。……なにより、
か弱い『女性』であった自分を、かい?」


 ずっとこの息子を見守ってきたのだ。誰よりも。
 だから―――わかる。


「『彼』の前で、君は『女性』だった。『女性』としての君が強く出ていた。
君が美妓となったときからわかっていたよ
―――君には、男性と女性、二つの心があると」


 身体がどうあれ、心は、どちらとしても生きられる。


「……『女』であった俺も、そこまで生きてきた俺も、イルの、イルだけのものだ。
だから、そのまま『イルといた時間』に置いていく。
―――その時間は、今夜が最期だ。あの日と変わらない月夜の、今夜が」


 あの日。彼と初めて触れ合った、あの夜。
 あの夜も、こんな美しい月だった。

 セティは瞼を閉じた。

 ルナが決別しなければならないほど傷ついた理由。

 ルナにとってこれまで大切なものであった玲瓏街が、
わずかな間でも激しい憎悪の対象となった理由。


「……わかっては、いるね? 『彼』は―――君の想いをきちんと理解して受け止めて旅立ったと」


 別れ際の彼の言葉から、ルナは感じ取ってしまった。
『玲瓏街の王子』―――ルナを縛りつけ、彼から引き離した元凶である
肩書きと役割を、彼が思い浮かべたことを。

 もちろん、そんなものは決してルナが望んだものではなかったと、
彼は別れる寸前にようやく理解したのだが―――。

 それでもなお別れ際にそう思わせたのは、言わせたのは、他ならぬこの玲瓏街だ。


「だから俺は、この街を憎んでしまった。……そんな俺が、これからこの街を守っていけるのか。守る資格があるのか。また、守るべきなのか。……その答えは、これから出す。今は」


 しゃん、と鈴を優雅に構えた。


「最期の俺を、見ていてほしい」


 美妓として働くのも、舞を舞うのも、これが最後だ。
 これから、どんな肩書きや役割がついてまわるかはわからない。
けれど、その働きは今までとは全く違うものになるだろう。

 セティは、もう一度だけ尋ねた。


「もうひとつだけ聞かせてほしい。……どうして、私なんだい?」


 その問いかけに、ルナはくすりと笑った。限りなく苦笑に近い笑みだった。


「……『あの夜』も、同じことを訊いてきたよな」


 ルナとセティ、二人の胸の内だけに留めている、あの――。


「当然か。本来『父親』に求めることじゃない。
……俺にとって、養父さんは間違いなく『父親』だ。けど、奥底では
―――少し、違っているんだろうな」


 質問の答えは、と続けた。


「あの夜と同じだ。……他に誰もいないから。『刹那の大切なひと』に出来る相手は。
家族としてじゃなく―――」


 その先を言いよどんで、ルナはまた、苦笑した。


「……まさかシャラに、こんな情けないもん預けるわけにはいかないだろ?
何より―――シャラは、『刹那』の相手になんか、出来ない」


 自分を救ってくれた彼女。きっとこれから、誰よりも大切な、守るべき存在となる彼女。
 すでに、欲しいと渇望し始めている、強気な、けれどきっと誰よりももろい彼女。

 セティも、くすりと苦笑した。


「確かに、ね。預かって平気なのは、私くらいなものだろう」


 あるいは、と呟いた。


「……私もまた、ルナと同じ心持ちであるのかもしれないな」


 だからこそ、この子が一番愛しいのかもしれない。



 ルナはふわりと笑い、鈴を掲げ―――月明かりの下、ただ遠い想い人を想って舞った。






「泣いて、いいんだよ」



 幻想的で、どこまでも哀しい舞に―――セティはそっと、ささやく。



「思い切り泣いて、泣ききって。……それから顔を上げなさい。夜が明ければ、明日が来るから」



 月影に映る水面に、光の雫が散った。





           ◇             ◇             ◇





 今宵は光とともに、永久の夢を見よう。

 あの日と変わらぬ月の下、決して戻らない夢を。
 遠い空の彼を。

 彼を、忘れるまで。


 水面に映る影がふと、あの日の二人を映す。

 幻だと、分かっている。

 けれど―――追いかける。


 姿が無くても、声が聞こえる気がした。

 木々たちがざわめく中、冷たい風の中で。


 なぜ、行ってしまった?

 なぜ、ついていかなかった?


 ただ傍にいたかった。

 他には何ひとつ要らなかった。


 けれど、彼の―――『本当の幸せ』のために。



 今宵だけは光とともに、永久の夢を見よう。

 決して決して戻らぬ、遠い空に居る彼を―――。


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